何回登山すんねんって思うけど、それが良いんです。
北イタリアのモンテ・ローザ山麓の別荘に夏の間だけ、家族で泊まりにくるピエトロと、代々その山で暮らしを営んできたブルーノ。同い年の彼らはすぐに打ち解け合い、生涯の友と呼べるような関係に。夏の間はピエトロは、ブルーノから山の様々なことを教えてもらい、ピエトロは都会にない刺激を享受する。ある日、ピエトロの父はブルーノを学校へ行かせることを彼の両親に提言するが、これを拒否。その日からピエトロとブルーノの関係も断絶される。やがて大人になり父が死んでしまったピエトロは、父の遺言通りブルーノと山に小屋を設営。そのためブルーノと再会を果たすが…。
子ども時代から大人になり、変わらない友情。本当の父と通じ合えなかったピエトロと、その父と親交のあったブルーノという歪な関係を見せてくれるドラマ性。そして、悩めるピエトロを見守るかのような山々を映したショットはどれも美しい。映画とはやはり画を見せてくれるものであり、そのショットはどれも完璧に近い形でキマっている。山間から太陽光が覗かせるところなんかも本当に嘆息が出てしまうほど。
ベストセラー小説の映画化と言うことらしく、メッセージ性があり、映画としての美しさも忘れていない。ただし、映画として派手なところが皆無でそのくせ上映時間147分は少し長い。美しい山々を見せるために主人公ピエトロは何回登山することになったのか？数えてみたら面白そうな作品。
