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帰れない山のmaccouqのレビュー・感想・評価

帰れない山(2022年製作の映画)
4.4
夏に借りた山の村で町育ちのピエトロが知り合った同い年の牛飼いのブルーノ。成長とともにピエトロは父と疎遠となり、一方で自分の父と疎遠となったブルーノはピエトロの父との親交を深めていく。父の死後に再会した二人、父の遺言に従い山に家を築く二人。ブルーノと父が歩いた山をたどり、父との会話を取り戻そうとするブルーノという話はほんの入り口だった。
父がそこは人が帰ることなくいつも入れるためにと建てようとした家を二人で建てる、そこには子供時代と同じ二人の楽しい思い出がある。
早くから自分の生きる道、居場所を定めたブルーノと相変わらず目的も定まらず、海外の山を行くピエトロ。そこにしか居られない者とそこにはとどまらず、帰ることもなく動き回る者、お互いのことを深く理解し合っていても、どうしようもできないことがある。それが望んでいたこととはいえ幸せなのかわからない。深い、なかなか考えのまとめられない、美しい映像とともに余韻の残る映画だった。
須弥山という世界観をはじめて知った。
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