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帰れない山のクリームのレビュー・感想・評価

帰れない山(2022年製作の映画)
3.9
北イタリアのモンテ·ローザ山麓の風景やネパールの風景が素敵でした。山と父との関係に翻弄された2人の少年の物語。次々と話が展開して行くので、飽きませんでした。考えさせられる作品。良い映画ですが、悲しさが残ります。ラストが心に沁みました。

都会育ちのピエトロは、休暇を過ごしていた山嶺の小さな村で牛飼いの少年·ブルーノに出会います。 互いに心を通わし、親交を深めていた2人でしたが、成長するにつれ距離ができ、親への反発から家を飛び出してしまったピエトロ。 時が流れ、父の悲報を受けピエトロは再びブルーノと再会するのですが…。



ネタバレ↓



父はピエトロに山の上の土地を残していて、ブロック職人として働くブルーノに家を建てて欲しいと約束していた。
2人で家を建てる事となり、いつしか昔の様になり、作業場で寝泊まりし、空白の時間を埋める2人。
家の完成後、ブルーノは、叔父夫婦の農場を復活させます。
ピエトロは働きながら旅を続け休暇に山小屋へ帰る生活でした。
ある時、ピエトロはトリノの友人を山の家に招待した。その中のラーラとブルーノは一緒に農場を経営し始め、結婚し、子供も授かります。
ピエトロは執筆活動をし、ネパールで子供の支援をする女性と出会いました。
その頃、ブルーノは農場経営に失敗し多額の借金を抱え、ラーラと子供は出て行った。ピエトロが助けようとしても断るブルーノ。冬になり、雪が酷くなっても山を降りませんでした。あまりの大雪に山小屋を捜索して貰ったが見付からず、雪溶けを待つしかない状況となった事を妻ラーラが電話でピエトロな知らせて来た。
雪が溶け、カラスが遺体をつつきます。ピエトロは、ネパールの彼女の元へ。

ブルーノは幼い時から、自分はこの山に縛られる宿命だと理解していた。ピエトロは、何でも選べる人生だが自分は違う。羨ましくもあったが、ピエトロを通して自由を見ていた様にも思える。「山は自分を傷つけない」自分は山の民だと言い聞かせるブルーノが切なく悲しい。妻や子供の為に何か方法があったかも知れないが、それも苦しく限界だったのだろう。端から見たら勝手な男だけど、幼少期から山と自分だけの人生しか知らなかった。そんなブルーノの遺体をカラスがついばみ、彼の遺体が自然に恵みを与えている。山の民は山に帰った。これで良かったのかも知れないけど、切ない話だった。
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