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帰れない山のhirobeyのネタバレレビュー・内容・結末

帰れない山(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

劇場で観れず漸くレンタルで鑑賞できた。
原題は、"八つの山"。

都会育ちと山育ちの2人の青年の友情と生き様を描いた良作。

北イタリアのモンテ・ローザの山麓の美しさと、山小屋の暮らしが丁寧に描かれている。

人生を深く考える作品だった。
都会育ちのピエトロは、父を拒み家族と距離をとる様になり、定職に就かず旅をしながらの生活をしている。一方、山育ちのブルーノは、ピエトロの両親と良好な関係を保ち、山での生活基盤を築きやがて家庭を持つ。
しかし、人生は良いことも悪いことも長く続くとは限らない。ピエトロは、各地の山を旅する中で、女性と出会いネパールでの生活を見出す。小説も出版社が付き収入が安定していく。一方、ブルーノの酪農プランは上手く行かず、家族と離れて一人山に籠る生活をする様になる。

山に縛られこだわり続けたブルーノと、自由気ままに旅を続けてきたピエトロ。父と離別したブルーノと、父を拒んだピエトロ。

亡き父とブルーノが踏破した山を辿りながら、父の思いにも触れ、理解していくピエトロ。親の思いを知るには、それなりの時間と経験がいるのかもしれない。それは、多くの人も共感できるのではないだろうか。

ブルーノの最後は、十分に予感できてしまうが、山に生きた彼の望んだ形なのかもしれない。ただ、違う道もあっただろうという寂しさが残るラストだった。
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