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寿/To Usのdm10foreverのレビュー・感想・評価

寿/To Us(2013年製作の映画)
3.4
【Home】

個人的に開催中の「GYAO!さん、今までありがとう!勝手に大感謝祭!」にて。

――東京で働く独身女子の紗代は、30歳の誕生日に実家の両親を訪ねるが、揺らぐ両親の関係のもと、家でも落ち着けず、同じ町に住む元彼を訪ねる。
その間、両親も互いに対峙する。彼女の居場所とは・・・(Filmarksあらすじより)

昔は「女性の結婚適齢期=クリスマスケーキ」なんて、とんでもないこじつけが一般論かのように言われていた時代もあったよね~(今これ言ったら相当白い目で見られるかも・・・)。
最近でこそ30歳でも「行き遅れ」なんて言われなくなってきたし、そもそもそれもセクハラだし・・・ってな感じで、古来から女性の「シアワセノカタチ」の一つとされてきた「結婚」というものに向き合う2人の女性の物語。

紗代はある日夢を見る。
昔付き合っていた彼との情事の夢。
でも、一番いいところで目が覚めてしまう・・・。

故郷を離れ、独り東京で働く紗代。
気がつけば30歳の誕生日を迎えていた。
しかし祝ってくれる人は誰もいない。
一人、部屋に帰った紗代は着替えもそこそこに帰りがけに買ってきたスナック菓子を無心で頬張る。
母からのメッセージには誕生日を祝う言葉とともに紗代の学生時代の友人たちが結婚したというさり気無い「トゲ」も残っていた。

特定の相手もなく、日々の仕事に追われる毎日の中で「結婚」という文字にリアリティが感じられない紗代。
それでも、自分の中にしっかりと燃え続けている「女性」。
故郷に帰って元彼と自分の現在位置を確かめ合うことで改めて現実を知る。

『結婚して、初めて女は幸せになるのよ』

母は30歳になっても浮いた話の一つもない紗代に諭すように話しかける。
でも、紗代は母と父の間に吹く隙間風を感じ取っていた。

「私、お母さんみたいにはなりたくないから・・・」

思わず口をついて出た言葉。

結婚することが幸せなんだろうか?
わたしは結婚がしたいだけなんだろうか?
極端な話をすれば相手は誰でもいいってことなんだろうか・・・?


お母さんはずっと寂しかった。
結婚し、子供が産まれ、やがてその子供が成長し、巣立っていく・・・。
その過程を見守っている間はあまり気にならなかったけど、どこかで女性として見てもらえない寂しさをずっと抱えて生きていた。

紗代が置いていった化粧品でこっそりメイクをするお母さん。
そしてその場面に出くわしてしまうお父さん。
バッチリメイクを決めながらも、目にはいっぱいの涙を浮かべながらお父さんをジッと見つめる。
お父さんは・・・・気づいてくれたと信じたい。
涙がこぼれてもそれを拭おうともせずに、真っ直ぐお父さんを見つめるお母さんに・・・。

明け方、紗代が見たのは、ダイニングテーブルで向き合って眠る両親の姿だった。
きっと昨晩は何らかの話もしたんだろう。
そしてそのまま二人とも眠りについたのかもしれない。
向かい合って眠っている二人の姿にはちょっとだけホッとさせられた。

もしかしたら反面教師なのかもしれない。
でも「お母さん」であり「女性」でもある彼女の生き方を否定することは出来ないかな・・・。
「だから結婚しなさい」っていうものでもないけど、結婚して全てが変わる必要なんてないし、逆に結婚しなくたって変わっていく人は変わっていく。
だからこそ、相手がちゃんとこっちを見てくれている時は「幸せ」って感じられるものなんじゃないかな。
それは勿論相手にしても同じこと。
だから、こちらもキチンと相手を見つめていたいものです。

主演している菜葉菜さんの「絶妙な存在感」がなんともいえない雰囲気を醸していて良き。
あと、何気に下着姿の彼女にリアルな質感と大人の色気を感じて・・・ちょっと好きかも。
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