ともちん

幸福な、のともちんのネタバレレビュー・内容・結末

幸福な、(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

東放学園映画専門学校の学生が卒業制作で撮った映画「幸福な、」
私も学生なので他の映画学校の作品を見る機会は多くあるが、これは今まで見た中でダントツで面白い。

        撮影
製作費や機材提供が少ないためもあるのか少しチープな絵が印象的である。ワークも揺れていたり。全体的に長回しでワンカットが多かった、ワンカットは連続性がありとてもリアリティを高める良い手法であるがその絵が持たない時が多くある。しかしこの作品ではしっかりとワンカットで表現する意図が感じられた。人物を多く動かし、フレームイン、アウトを繰り返し、その絵一本で勝負することが正しいと思う。

        演出
この映画の一番はフックである。
母のことを愛してやまない、なんならそう言う目で見ている主人公。それだけで観客は見たことのないものに食いつきたくなる。

しかし、そのフック頼りではなくしっかりその中で感情や思いの揺らぎがあり、しっかりとしてドラマが構成されている。

タイトルインの仕方も素晴らしい、しっかりとシンプルに短い時間でこの映画はこの関係性、人物を中心に展開していく話であると説明してからタイトルイン。

また感情の入れ替えにより、初めは母親がチャリを先導して運転していたのが、今度は娘が親を先導していく立場となる。このドラマの初めとケツでどう変わったのかをしっかりとシンプルに表現している。とても映画的な演出であった。
映画というものは現実では出会えない、見たことのない光景を見ることが本質であり、この映画はまさにそうな、理解できて同情できない人物を映画を通して同情させる。映画として素晴らしい構成である。
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