Monsieurおむすび

オーナーズのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

オーナーズ(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ボロボロの集合住宅の各戸所有者たちによる管理組合を舞台としたほぼワンルーム、ワンシチュエーションの会話劇ブラックコメディ。

ご近所が集まる町内会のように和やかに始まるも、隣人同士のチクリとした嫌味の応酬があったり、自分の利益しか考えない人がいたり、何かと規則にこだわる人がいたりと議論が進まず、徐々に不穏な空気に。

観てる側はなんとか場を治めて進行したい議長に寄り添いながらも、その場には絶対いたくない傍観者視点。ストレスが溜まると同時に、渇いた笑いも生まれる恐ろし面白い雰囲気づくりが絶妙。

共産主義から民主主義へ移行したチェコの片隅でおきる、多様な人間性や価値観の集合体である社会で生きる難しさや、個人の自由と集団的な幸福との折り合いのつけ方などが示唆される意外にも社会派な視座が深みを帯びる。

人口密度の割には希薄な人間関係の日本社会にも通ずる問題があり、劇中の日本人女性がほぼ発言権もなく不憫なように、日本に住む外国人の立場になって考えると、日本はなかなか残酷な国なんだろうなと思えて仕方ない。
Monsieurおむすび

Monsieurおむすび