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走れ、ウイェ!走れ!のkyokoのレビュー・感想・評価

走れ、ウイェ!走れ!(2020年製作の映画)
3.6
パーキンソン病を発症したスウェーデンのミュージシャン、ウイェ・ブランデリウスの自伝的映画。彼とその家族がoneself出演している。
ほのぼのキャラのウイェ、バリキャリの妻、見た目に反して自分を出すことが苦手な長女、マイペースな妹、という家族の平和な日常は、彼の体に起きた異変によって徐々に失われていく。ストーリーに対して、雰囲気は全体的にポップだけれど、やや乗りづらいテンポ。
「今のうちにやりたいこと」が暴走すること(病によるものだと分かっていても結構ひいた)以上に、病気の発症を家族に打ち明けないことにも最初はモヤモヤしたけれど、自分に置き換えてみたら、「ああ、言えないかも」とも思う。今すぐ死ぬわけじゃない、けれど未来を奪われる恐怖からは目を背けたい、それが結果として己を追い詰めることになっても。

生きていることがなにより家族にとって幸せなことだということに気づき、向き合えるようになった証ともいえるこの作品は、きっと同じ病に苦しむ人や家族にも強い気持ちを与えるにちがいない。
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