ひ

我々の父親のひのネタバレレビュー・内容・結末

我々の父親(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

自分は完全に日本人で、確実に兄弟姉妹ではないから他人事のように観れちゃったけど、自分がその特徴に当てはまってたら観るのちょっと怖いかも。 

だからと言って自分は同類の被害に巻き込まれてはないと言い切れないからもっと怖い。

物理的に何かを盗まれたとか、何かをされて一生の傷を残されたとか罪には色々あってどれも決して許されるものではないけど、これは最初から変えようのない一人の人間の存在理由を盗んで自分のものに置き換えてしまっていて、相当悪質だと思う。酷過ぎる。

家族であればただただ医者を恨めばいいけど、張本人だったら医者を恨めば恨むほど、その血を受け継いだ自分の存在意義とは?とか、自己否定になっちゃうからつら過ぎるな。変えようにも変えられないし。気がついてしまったら、その後の長い人生この事実を背負わされて生きていかなければならないと思うと、気づかない方が良かったのかもしれないとさえ思う。

でも、憎悪の対象であるのにも関わらず、一部の親が感謝の気持ちも持ち合わせているのもわからなくはない。不妊であろうとなかろうと、他の誰でもなくあの医者でなければその子は生まれなかったんだし、その子と過ごしてきた年月を考えれば当然だと思う。もし子の立場なら絶対嫌だけど。

胸糞の悪い話だった。動物的な征服本能なのか、特殊な性癖のようにしか見えないけど、医者自身は"助けてあげた"って思ってそうなのが、人って相容れない存在なんだと絶望さも感じた。

卵子・精子提供が始まったくらいの時期は今ほど管理体制がしっかりしてた訳ではないし、今だってどこかで起きてそう。

44件に収まらずもっといるだろうし、世界規模で考えれば…と考えると恐ろしかった。もしかしたら世界各地にもっと近い親戚がいっぱいいるのかもしれない。
ひ