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我々の父親のmellyのネタバレレビュー・内容・結末

我々の父親(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

生きていくということ、という感じがした。それぞれが事実を受け止めて、それでも人生が続いていく中でなにを選択していくのかというか。人間はたくましい。それが望んだものでも、望まれたものでもなくても。

やってることヤバすぎるしキモすぎるな〜と思ってみていたら最後の最後に44人とか出てきてえ〜あるあるだったんか〜いという気持ちになった。怖すぎる。じゃあなんか、じゃあこの人もそこまで反省できない気持ちもちょっとわかってしまうよダメすぎるけど。とてもダメだけどね。妊娠も出産も経験がないけど、想像するだけでもあまりに苦しいし恐ろしい。自分の子どもを産んで育てたい気持ちはあるけど、同じかそれを超える恐ろしさがあって、じゃあそれを乗り越えられるのはなにかってわたしとこの人の間の子どもを産みたいという気持ちなんじゃないかと思ってて、知らんおじさんの子どもだったらわけが違う違う違う!っていうこととかは誰も考えてくれないのかしら。法律は狂ってるわね。なんて安直に言いたくもなる。何も知らないので意見をするならちゃんと調べたほうがいいですが。あとなんかこれは本当にひどいことをいうかもしれないのだけど、この医者が誰もが羨むハンサムだったらどう?という気持ちもちょっとあった。でっかくてひげもじゃでおじさんっていうところもよくなく働いてしまった気がしたということで、ハンサムだったら許せるでしょって話ではないです。これ法で裁けないの本当にわからん…反省してください、法律をやっている人が。という気持ち。

あとまぁ、知らぬが仏ってことばについても何度か考えた。ジャコバさんがやってることの如何についても考えざるを得なかった。酷いことだとも思えるし、でも必要なことだとも思える。知らぬが仏って言葉でみんなが知らずに許されていい人間じゃないから。でも、知らないほうが幸せだった人もたくさんいるのだろうし、なんとも言えない。

彼が反省するかどうかは彼にしか決められないし、だからそれを求めるっていうのも違うと思ってて、でもせめて全ての人間に恨まれて欲しいと思うだろうなと思った。自分が当事者だったら。反省してなくても、裁かれなくても、懲役喰らわなくても、せめて全員に蔑まれてほしい。この人を愛している人もいるという事実が一番苦しい。全員に蔑まれてほしい。でもそうじゃなかった。救いがない。
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