Omizu

ファイアー・アイランドのOmizuのレビュー・感想・評価

ファイアー・アイランド(2022年製作の映画)
4.3
【第38回インディペンデント・スピリット賞 第一回脚本賞ノミネート】
ゲイであるコメディアン、ジョエル・キム・ブースターが製作脚本主演をつとめたラブコメディ。ジェイン・オースティン『高慢と偏見』を土台にした脚本が高い評価を受けている。

ブースターだけでなく親友ハウイ役のボーウェン・ヤン、レズビアンのエリン役マーガレット・チョウなどクィアをカミングアウトしている役者がキャスティングされている。

「イヤなヤツだと思ってたけど、アイツのことが好きかも…!?」という今のラブコメの土台をつくりあげた『高慢と偏見』、それをゲイの世界に?そんなこと可能なのか?と思っていた。可能でしたね~

アジア系ゲイというゲイ界の中でもヒエラルキー下位にあるノアとハウイ。そんな彼らが色んな意味で一皮むける…!

日本だけで生きているとゲイ界でのヒエラルキーなんて気にしたことなかった。体型はあるよね。顔よりも体型が大事。ダントツで筋肉ムキムキがモテる。その次に筋肉ないけど細い人、または太っている人、そして筋肉がなくて中途半端に太っている人が最下位。←僕はここ

それはさておき、ゲイならではの軽快な下ネタトークのように全体がぽんぽんと進むので観ていて楽しい。時折挟まれるノアの皮肉たっぷりのナレーションも可笑しい。

原作ではダーシー様であるウィル、魅力的!アジア系でありながら高給取りの弁護士として一軍に所属する。ノアたちをバカにしているように見えたが実は…!の展開はお約束だけど楽しい。

ウィル、それじゃ伝わらないよ!アイス食べてるのかわいいね!とか応援上映してほしい。

『高慢と偏見』をゲイの世界に落とし込み、軽快なラブコメとして誰が観ても楽しめる。これは非常に優れた作品だと思う。オススメ。
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