けーな

ミセス・ハリス、パリへ行くのけーなのレビュー・感想・評価

4.8
これ、すごく好き。観終わって、元気もらえた。

イギリスに住む家政婦のミセス・ハリスが、お手伝いに行っているお家で、ディオールのドレスに一目惚れ。オートクチュールなんてこと、全く知らずに、お金を貯めて、パリのディオールへ。

と、これだけ言うと、単なるファッションに関することを描いただけの話かと思ってしまう人もいるかもしれないし、単純なお姫様物語だと勘違いしてしまう人もいるだろうけれど、実際のところ、主人公達の細かい気持ちの揺れ動きを、繊細に描いている素敵な映画だった。

ストーリー展開は、上手く行き過ぎではあるけれど、あくまでも、これは、お話だし、このお話を通して、幾つになっても、ときめいたり、夢見たりすることの大切さを教えられた。

また、ただただハッピーに成功して終わるっていう単純な話じゃなくて、人生の機微をほろ苦く描いているところも、この映画の良いところだと思う。晴れやかなオートクチュールの世界だけでなく、普通の人々の地味な暮らしも丁寧に描かれていて、微笑ましく観れた。そういう点が、イギリス映画の良さだと思う。

主人公が年配ってこともあって、あんな風に歳取りたいなと思ったし、仲間や周りの人達の大切さも、改めて感じることができた。

ミセス・ハリスを演じるのは、レスリー・マンヴィル。少し前に「家族の庭」を観て、表現力が見事だなと思ったけれども、今作でも、要所要所で、顔の表情を変化させ、気持ちを巧く表現していて、素晴らしかった。

ミセス・ハリスが、ディオールのドレスは、もちろんのことだけど、パリ滞在中に、アンドレの妹の洋服を上手に着こなしているのが、素敵だった。若い女の子の服を借りて、それを着れるおばさんって、普通は、滅多にいないけどね。イギリスにいる時に着ている服も、イギリスらしくて、微笑ましかった。

そして、何より、イザベル・ユペールが、はまり役だった。ディオールの人は、あんな感じだろうなと思わせてくれる。見事だった。それから、この映画で、侯爵の存在が、スパイス効いてて良かったなと思う。ほろ苦い展開が、効いていた。そして、ジェイソン・アイザックスも、味わい深い役で、良かった。マルフォイのお父さん役で知った、この俳優さん、クールに決めると、かなりのイケメンだけど、今作では、イギリスの庶民のおじさんって感じを見事に演じてた。

会計士アンドレを演じているリュカ・ブラヴォーが、ブラボー‼︎ とてもカッコいい。若い頃のヒュー・グラントに似てると思った。名前のLucasは、フランスでは、ルーカスじゃなくて、リュカって読むんだってことも、初めて知った。 
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