イチロヲ

白い天使の抱擁のイチロヲのレビュー・感想・評価

白い天使の抱擁(1972年製作の映画)
3.0
将来を約束された外科医師(谷本一)と交際する看護婦(片桐夕子)が、不祥事の隠蔽工作に加担してしまう。自己犠牲を強いられる看護婦の葛藤劇を描いている、日活ロマンポルノ。

出世のために理事長の娘(原英美)と密かに関係をもつ医師。そして医師の不祥事を揉み消すために、被害者の青年(小松鉄男)と肉体関係をもつヒロイン。この両者の行動を平行線で描きながら、自己実現のドラマへと集約させていく論法。

原英美と小松鉄男の両名が、ずる賢く立ち回ることができる、悪女と悪童のキャラクターになっているところが面白い。とりわけ、原英美の暴走ぶりが見応え満点であり、SMクラブでハッスルする姿に笑わせられる。

全体的にダウナーな雰囲気が漂う地味な作品だが、女性主導の自由意志へと落とし込んでいく語り口が、この時代ならでは。過去を上書きして、新しい道へと突き進む、ロマンポルノのヒロイン像を至極スマートに表現している。
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