Automne

瀬戸内寂聴 99年生きて思うことのAutomneのレビュー・感想・評価

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恋は雷。言葉のひとつひとつに深さがあって、心の真ん中に響いてくる。
生きることを閉じてゆくこと。終わるときの"末期の眼"の話、経験深く理性的な寂聴さんの人間らしさや、ふとした感情の発露。
身体がいうことを利かなくなるにつれて感情や人間らしさは強くなり、不安もすべてなくなって終末へと向かう。それらがすべて豊かに物語として小説に綴られるような人生、瀬戸内寂聴さんのそんな人となりが知れて良かった。
ずっと寄り添った裕さんが私小説の登場人物になっていたりするような、生き方と物語との距離の近さにぐっと来るものがあった。
映画館の外で貼られているインタビューで、裕さんが「あの人とはある種の恋愛関係だったと思います」と語っていて、ああ、寂聴さんはこれを直接聞けたわけではないかもしれないけど幸せだったんだな、と感じて泣いてしまった。

教えてもらって観に行けて良かった。私も後悔しない人生を生きてゆきたい。ひとりだけど豊かに。
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