幽斎

殺人犯ジョン・リストの幽斎のレビュー・感想・評価

殺人犯ジョン・リスト(2020年製作の映画)
3.0
C級スリラー(ホラー)をレビューする、Scavengerシリーズ第2界。原題「A Killer Next Door」そのまんま(笑)。狂信的な夫に妻と子供達が射殺された。犯人は逃亡を続け18年の時が経過。殺人犯の隣人と暮らす女子大学生。退屈凌ぎに始めた覗きで、思いもしない危険に直面する・・・AmazonPrimeVideoで0円鑑賞。

本作は私の一番好きなイギリス映画だが、現地ではDVDスルーとしてリリース。Andrew Jones監督もイギリス人だが、題材はアメリカ。不思議な事にイギリス人のサイコ・スリラーの映画化は少ない。イギリスにサイコパスが居ない訳では無いと思うが、被害者が居る為、外国の事件の方が面白可笑しく作れる、かもしれない(投げ槍り(笑)。

「John List Murderer」1971年アメリカで発生した一家殺人事件。被疑者は特定されるが「ポストワーク」事後工作で発覚が1ヶ月遅れ、逮捕まで18年掛かった。人の気配が無い夜に電燈が点いてクラシック音楽が昼夜問わず流れてた。豪壮な邸宅に住み資産家と近隣住民は思ったが、実際は金欠で財政が逼迫してた。どうして捕まったかはご覧頂くとして、アメリカでは有名な事件を基に描かれる。

実はジョン・リスト事件は映画化済、1987年「W/ダブル」。ステップファーザーはミステリー小説でお決まりのジャンルですが、Joseph Ruben監督の手堅い演出と魅力的なShelley Hackのお陰で、隠れたサイコ・スリラーの佳作。続編も創られ「ステップファーザー2/危険な絆」私の好きなMeg Foster主演。「ステップファーザー3」エロいPriscilla Barnes主演。リメイク2009年「ステップファーザー 殺人鬼の棲む家」Sela Ward主演はご覧に成った方も居るだろう。本作で5回目の登場、大人気だな。

それだけプロットが秀逸且つ分かり易い訳ですが、お察しの通り本作は過去作の中で一番面白くない。だってAndrew Jones監督ですよ?、相棒のLee Baneが出演してないので油断したが、相変わらず素材の良さを活かせず、センスオブテンションも感じられない。映像化し易い案件なのに、演出がダル重もで、私はテレビを見ないけど昔やってた世界まる見え!テレビ特捜部の再現ビデオの方が緊迫感が有るかも。今はザ!世界仰天ニュースとか、良く出来てるらしい。

John Listはサイコパス殺人鬼だが、本作は致命的に弱く、過去作品と違いJohn Listの背景とか描写が少ないので、サイコパスの本質である「なぜ事件に至ったか?」をスルーしては、映画化した意味すら問われる始末。私の師匠Alfred Hitchcock監督「裏窓」的な造形もサスペンスを生む工夫に欠け、結末は容易に推測できる。肝心な「彼は何を求めて逃亡して新しい家族を迎えたか?」も描かれない。此処まで来ると実話ネタの意義も怪しく為るが、Andrew Jones監督基準ではマシなレベルとも言える。

ルーテル教会から抗議された曰く付き。サイコパスのコレクターなら暇潰しに為るかも。
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