みのうぐん

ナワリヌイのみのうぐんのレビュー・感想・評価

ナワリヌイ(2022年製作の映画)
3.5
『社会主義体制が上手くいかない理由』⁡
⁡⁡
⁡映画、『ナワリヌイ』を観てきた。平日の昼間にも関わらず、全席埋まっていて関心の強さが伺えたし、そこそこ面白かった。⁡
⁡⁡
⁡そこで、何故社会主義国家では、腑に落ちない陰謀めいた暗殺などが横行するのか考えてみる。 ⁡
⁡⁡

⁡まず、社会が複雑化していくにつれ、1人の人間が全体を把握することは、人間の能力的に不可能になる。⁡⁡

⁡そして、この弊害を真っ先に被ったのは王政時代の王で、真面目に政務を執り行おうとした結果過労死寸前にまで陥り、かといって真面目にやらなければ悪徳な家臣や親族の跋扈を招く結果となった。⁡
⁡⁡
⁡続いて官僚がこの弊害を被ったため、自由化という方法で省庁の既得権益を放棄させる方法を採ろうとしたのだが、自分たちの裁量権が減る=予算が確保できないという理由で抵抗が続いているが、抵抗すればするほど処理する事務作業が多くなり、やはり過労死寸前になるというジレンマが待ち構えていた。⁡
⁡⁡
⁡このため、たとえば霞ヶ関の官僚で「如何に超過労働が多く無駄な作業に従事させられているか」という愚痴がしばしば見られるが、嫌なら既得権益を放棄すれば良いだけなので(王政はそうやって崩壊した)、これは単なる自業自得だから全く同情できない。(これは医療機関でも同様)⁡
⁡⁡⁡
⁡そして、政治家の場合は政権を担当した国会議員は、早々に族議員化して特定のジャンルの権益を中心とした活動するか、官僚に丸投げすることで切り抜けた。⁡
でなければ、複数の産業の勉強をするだけで過労死寸前に追い詰められるのを実感しているからだ。⁡
⁡⁡
⁡このことを実感していないのは、野党関係者とその周辺にいる人達だけで、これは、実務を長期間に渡って経験していないから、まだ無責任な空理空論を唱えることができるからだ。⁡
⁡⁡
⁡同様の事態は王政崩壊の時期にも出現しており、王が執務に追われていても、王の親族の一部はこうした執務の一部を担うだけだったため、絶対王政を維持すべきと言う主張をし続けた。⁡
⁡⁡
自意識が肥大化しまくったエリート様には自覚が出来ないかもしれないが、ここまで複雑化した社会全体を把握し、適切な政策提言が可能な人間などこの世に存在しない。⁡
⁡⁡覚える事があまりにも多すぎ、かつ行政がそれらに介入しようとすると、事務作業が莫大なモノになるからだ。⁡
⁡⁡
⁡これは、集団で問題に当たっても、下請けを利用しても多少緩和されるだけで、最終的にはパンクするようになっている。⁡
⁡⁡
⁡「頭の良い人間が政権を担当して、適切な指示を下せば社会は良くなる」と思っている人は、全体管理と事務処理を1日に10何時間もするという実務経験した事が無いと思って良い。もし、それを強制的にやらされたら、その人自身はあっという間に潰れるだろう。⁡
⁡⁡
⁡たとえば、今の日本で「政治家は社会全体を把握して、適切な政策を提言せねばならない」と主張している人達は、IT化が進行した現代以前の社会を想定した発言をしているだけだと断言して良い。⁡
⁡⁡
⁡こういう主張をしている人達で、今の会社で使われている管理ソフトを十全に使いこなせたり、それらのソフトを作成するために使われているプログラム言語の仕組みを理解している人達はまずいない。⁡
⁡⁡
ハッキリ言って、もう時代遅れの考え方だから、そういう放言ができるのだ。⁡
⁡現実に合わせてそれらのソフトをちゃんと使えるようになるまで練習したり、プログラム言語を学習する機会があれば、自分が現代から取り残されていることを実感せざるを得ないだろう。⁡
⁡何せ、仕事をしながらそういう学習を並行してやらなければならないのだから、その段階で遊んでいる暇どころか睡眠時間までガリガリ削られていくのだ。⁡