EDDIE

ライズ~コートに輝いた希望のEDDIEのレビュー・感想・評価

4.1
不法移民にならざるを得なかった両親…彼ら家族の生活は苦難の連続。ヤニス、タナシス、コスタスのアデトクンボ兄弟の成功秘話。あまりにも無慈悲な制度の壁に阻まれる家族を見せられるが為、NBAドラフトシーンでは涙腺崩壊。

〈感想〉
NBAファンにはお馴染みのスター選手ヤニス・アデトクンボ。
兄弟の中で一際大成功を収めたヤニスですが、タナシス、コスタスと三兄弟がNBAのチャンピオンリングを獲得するという史上初の快挙を達成しています。
タナシスもコスタスもヤニスに比べればスターという領域ではありませんが、大スターでもキャリアで優勝一度もできない選手なんてザラにいるので、こんな奇跡的な快挙はもう二度と起こり得ないんじゃないでしょうか。

ましてや、彼らがNBA選手になるまでの苦難を考えれば、それは天文学的確率としか言えません。

少し前に鑑賞したNetflixオリジナルの『HUSTLE/ハッスル』の方が映画としての完成度は高く、本作はややソフトな印象でしたが、それでも彼らアデトクンボ家の辿ってきた厳しい道のりはなかなかのものでした(ハッスルレビューし忘れてたことに今気付く)。
不法移民って言葉が一人歩きしていますが、お国柄の事情でそうならざるを得なかったのです。

家計は苦しく、バスケという楽しみを見出しても、兄のタナシスと一足のバッシュをシェアしてプレーするというツラい現実。
チームメイトに嘲笑されても兄タナシスの強い意志に導かれるように、ヤニスも懸命にバスケに取り組みます。
ヤニスは心優しい性格もあり、兄タナシスよりも控え目で自信をなくしがち。ヤニス本人も製作総指揮に名を連ねているので、彼の性格は映画の通りなのでしょう。
映画の尺もあり、家族の苦労をメインで描いたために、ヤニスのプレイヤーとしてのブレイクがやや唐突だった感じはしましたが、そんなこと関係なしに現実とリンクするNBAドラフトのシーンは超感動。

ドラフトってホント指名されるその時までわからないんだなってのがよくわかって、特に彼らは不法移民とかビザの問題もあるのでそれが尚更強く出ます。
現実のドラフトを知っているにもかかわらず、なぜかドキドキしてしまいました。

NBAでMVP常連となり、優勝も果たしたヤニスを中心としたアデトクンボ家。
そんなスター選手を取り巻く環境でも映像で観ると知らないことばかりで、観てよかったと思いました。

NBAやバスケ、スポーツ好きはもちろん、社会や政治問題にも直結する不法移民問題などに関心のある方にはオススメの映画です。

〈キャスト〉
チャールズ・アデトクンボ(ダイヨ・オケニイ)
ヴェラ・アデトクンボ(イェティデ・パダキ)
ヤニス・アデトクンボ(ウーチェ・アガダ)
タナシス・アデトクンボ(ラル・アガダ)
アレックス・アデトクンボ(イライジャ・ショーマンキー)
コスタス・アデトクンボ(ジェイデン・オシムワ)
ハリス・エレフセリウー(エフシミス・チャルキディス)
タキス・ザイヴァズ(パノス・コロニス)
ケビン・ステファナイズ(マニッシュ・ダヤル)
パコ(クリストス・ルーリス)
バミデレ(アキン・オモトソ)
フランシス・アデトクンボ(アンソニー・アビオラ)
ジョン・ハモンド(テイラー・ニコルス)
セセリア(ジョーク・シルヴァ)

※2022年新作映画108本目
※2022年自宅鑑賞145本目
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