悪魔の毒々クチビル

オカムロさんの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

オカムロさん(2022年製作の映画)
3.1
「お前だけは絶対許さない!」
「何回言うんだそれ」

名前を検索すると首を狩りにやってくる妖怪オカムロの恐怖を描いたお話。

今作のことは以前、ヒューマントラスト渋谷に「国岡ツアーズ」を買いに行った時にポスターを見て知りました。
第一印象はあんま興味無かったんだけど、よく見たら伊澤彩織がいますやんって事で成る程アクションホラーなのかと。この人出ているならちょっくら観に行きますかと。
新たなアクションホラーの傑作とまでは行かずとも良作なのではと思い観に行って来ました。


……あっれぇ?
あんま面白くないやん。嘘やん。

オープニングとかは良かったんですよ。
キャンプをしに来た若者グループがオカムロさんに首チョンパされまくり、スラッシャー映画でよくある内容を開始数分で終わらせるくだりはジャパニーズホラーな陰鬱とした雰囲気もちょこっとあって結構好みだったんです。
で、唯一生き残ったファイナルガールな主人公が同じくオカムロさんに恨みを持つ伊澤彩織演じる綾子の元で修行して最終決戦に向かっていく…って展開になっていくのです。

そのまま開始数10分はオカムロさんによる殺戮がどんどん繰り広げられていき、いきなり大人数の首が飛ぶ訳ですが、流石に予算の関係なのか事後しか映さなかったり血飛沫をCGで表現したりとクオリティのムラが凄い。
そして検索した人間が次々と死んでいく事態を受け、政府が「オカムロ」という言葉を検索出来ないようにする措置を取るんだけどここをコロナと繋げてwithオカムロってな感じの流れになっていくのがクソ寒くてキツかったです。
何度か甘噛みしていたキャスターによるwithオカムロ世代の解説シーンも本当に何も面白くなかったし、渋谷で「オカムロなんて政府の出鱈目だ」「オカムロはただの風邪だ」と演説する二人組も悪い意味で痛いだけ。流石に風邪とは結び付かないでしょ。そこは適切な例え探しておこうよ。

と、序盤~中盤に掛けてテンションのだだ下がりっぷりが半端無かったので「早く…早く伊澤彩織出しておくれ」とひたすら願うばかりでした。
でもそんな伊澤姐さんも、相変わらず引き締まった身体が格好良くて素晴らしかったんだけど演じたキャラがイマイチでした。
強いんだけど不良的な尖り方をしていて、最初は主人公への当たりも強くて軽く浮いちゃってたのよね。
修行をしていく内にある程度心を通わせる描写もありましたが、時間の関係か物凄く雑だったので普通に師匠キャラの方が良かったのでは。
インタビュー記事を読んでみたら監督が伊澤さん用にキャラを足した様で、それで若干ごちゃごちゃした内容になったのかな。
まぁだとしてもアクション的には彼女がいるといないでは全然違うので、出演してくれて良かったとは思います。そもそも出演していなかったら俺も観てないだろうし。

修行先のお寺の和尚さんも含め、最終決戦に向かう時にLamb of GodとかChimairaのフォロワーバンドみたいなリフにお経を乗っけるという独特な曲が流れていてそこが地味に印象に残りはしました。

終盤はちょっとしたツイストもありますが、寧ろこれのせいでこれまでの物語がより不自然になっていたので正直要らなくね?とは思いました。
あとはオカムロさんの見た目が第2~第3形態みたいに変わって行きますが、2番目のアレは流石に無いだろと思いました。ラストのあっちの方が全然良いよね。
終わり方もまぁ、あれはあれで一つの締め方だと思うけど散々合わないノリを見せられた挙げ句、あんなショボいエフェクトで終わりてあんた。そりゃ観てるこっちも「……」と真顔にもなるわ。
ラストバトルの伊澤彩織の立ち回り自体はやっぱクールで惚れ惚れするんだけど、この内容であのくらいの尺だと物足りなさの方が勝ってしまいました。あんなに用意していた銃火器も殆ど使ってなかったし。

あの和尚さんと言い、数少ない良いキャラも全然活かせていなかったしゴアも際立つのは基本中盤までだったしで、序盤と伊澤姐さん以外は悉く合わなかった作品でした。どうしてこうなった。
でも伊澤姐さん出演作を初めてスクリーンで鑑賞出来たので、ギリ観て良かったと思えました。

そう言えば主人公のお母さん役の女優さんって、「国岡ツアーズ」のあの人だよね。国岡さんのおかんだよね、多分。