受け継いだ負の遺産のせいで、幸せに生きる可能性が帳消しになるやるせない話だった。怒りを押し殺したり、笑顔で全てをひた隠しにしていた横浜流星さんの感情の振り幅が凄まじい。
親の起こした罪から逃れようとしても、次は村の暗部に縛られ続ける優がとにかく不憫だった。過去の出来事が未来に生きる人の負担にならざるを得ないこの村が歪だったし、それでやっと成り立ってることが異常だと思う。
そして一見大きく振る舞っていて、本当に欲しいものは手に入れられない透が哀れだった。閉鎖的な空間にいたことや、恐らく親からの愛情もなかったせいで人の愛し方がおかしかったし、誇れる物が親の威光しかないのが虚しい。
”能は自身の姿と向き合うもの”って言葉みたいに、この作品と個人や集団を照らし合わせることができそうだなと感じた。
