アイコ

ヴィレッジのアイコのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
4.0
映画に娯楽だけを求める人にはおすすめしません。

何もない田舎にありがちな話じゃなくて
今の日本の社会の縮図そのまんま!!
この作品を観て『だったら逃げれば良くない?』って思った人は環境に恵まれているのか向こう側の人間なのかのどちらかなんじゃないかと思う。
出る杭はこぞって打つくせに、出過ぎた杭には媚びへつらい、自分より下の人間を見つけて勝手な優越感を持ち、自分と周りを比較して同じであることに安心して
困っている人がいてもまず周りを伺って周りがどんな行動取ってるかを観察してから行動して
周りと同じであることに安心感を覚える。

学校でも会社でも社会でも多かれ少なかれ同じようなことばっかしで、溢れかえる情報から得たものをそのまま間に受けて口にするから
自己主張しているようで【自分】がない人が多過ぎて生きていくだけでとっても疲れる。

出て来る人それぞれのキャラクターがめちゃくちゃリアルで実話?って思っちゃうレベルなのが凄いし配役もこれ以上のものある?って思ってしまう

好き嫌いあれど誰が観てもイケメンであろう横浜流星にいい意味でイケメンのキラキラオーラゼロなのが凄いし
絶望しかない毎日に一筋の光が刺してからの変わりようも見事。
都会ではパッとしなくても田舎に帰ればみんなからチヤホヤされる程よい美人具合の黒木華の独特の空気感とほのかに漂う不幸オーラは流石!

社会に空いた穴に落ちてしまったり最初から穴の中にいる人達が小さい小さいしょーもない世界でこれが正しいっていう勝手な正義で生きる姿は
痛々しくもあり滑稽でもありとても哀れやけど
その哀れさに気づかないことは幸か不幸かは分からない。

弱い人間をどこまでも弱く、人間の弱さをとてもリアルに描き切る潔さがとても心地よく、良い意味で邦画らしくないところがとても好み。

エンディングとその後を観て何を感じるかはそれぞれの価値観によって変わると思うんやけど
個人的には最高な終わり方で超絶胸糞なその後やったなーって思うしそれが最高に良かった!


日本にもこんな作品作れる人がいたのか!と感銘を受けていたら「ヤクザと家族」とか「余命10年」の監督さんやったんか。
この人の作品には邦画にありがちな中途半端な綺麗事とか突然出てくる善人性とか作品をつまらなくするクソ要素がないところがとても好み。

だから必然的に観る人を選ぶ作品になりがちになると思うんやけど映画はそれでいいと思うし
次作の『最後まで行く』が俄然楽しみになった!!
アイコ

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