umihayato

ヴィレッジのumihayatoのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
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社会には表と裏がある。
そりゃもちろんそうだろう。
その社会の欠陥は、生活の為に自ら臭い物にならざるを得ない者を利用して生活してる人間がいる事。
そして大切なもう一つは、"気付いていても臭い物に蓋をして見て見ぬ振りする"『当事者じゃない』人間たちがいる事だろう。

それは正に映画を見ている僕らであるが
映画を見るところ製作者の問題意識や視点が、当事者達の問題に留まっている事が非常に残念であるし、それこそが今の日本社会の問題なんじゃないのかと強く言っておきたい。

隠蔽当事者達の事情や感情を描く事はもういいのではないか?
現実社会でだって、政治家の隠蔽に目を瞑り、汚職や癒着に目を瞑り、迫害に目を瞑り、多様性やSDG's商法の"ハリボテ"に目を瞑り、被害者が会見を開いても知らんぷり。
当事者の事情や感情は十分分かった上で、それぞれの正しさがあるとか、楽しんでるのを邪魔するなと言わんばかりに、みんな個人の幸せを謳歌してしまってる。

本当にヤバいのは黒木華の役や一般の村人達の様な、ハリボテと知ってても(ムラ映画を謳っておきながら悪事を当事者しか知らないと言う設定はあり得なく、この映画の大きな問題であると思う)、"自分の生活や目標"を優先している『無自覚の加担』である。
そこへの指摘がほとんど無く、システムの構造と、当事者の感情の釣り針で釣る感じになっていたのは本当に残念。
ラストも匂わせでなんの提示もなし。

繰り返す原因も、弟が出ていく原因も
「事件があったから」や「体制が腐ってるから」じゃなくて
『それでも何事もなかった様に社会が回るから』でしょうが。
もっと観光客バンバンで村人達が賑やかな中で出て行く描写にしなさいよ。
そういう景色が今の日本社会だよ。

問題意識があるなら問題を見誤らないでもらいたい。
もっと無意識層にストレートパンチを喰らわす様な話を見せて欲しい。
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