田舎の集落を舞台に、前科者の父と借金まみれの母の尻拭いばかりで鬱屈とした日々を送る青年の話。
伝統の薪能が根付く、神秘的な山間の村。
一見美しいこの村には、隠された闇があった。
住民の反対を押し切ってできた大規模なゴミ処理施設と、そこで行われるヤクザの不法投棄。
そして、ムラ社会特有の同調圧力や、隠蔽、いじめ…
日本ならではの神秘的な空気感と、ノワールの組み合わせは斬新で、映像の雰囲気は抜群に良かった。
ここで映画への期待が膨らんだのだが、最後まで観ると、結局何が描きたかったのか?という感じでちょっと拍子抜け。
日本の闇や、社会構造の歪みを描きたかったのかもしれないが、単に題材として扱ってみただけにしか思えない程度の中途半端な投げかけに止まってしまったのが残念だった。
雰囲気だけで、中身がぼんやりとしていたのが非常に勿体なかった。