悪魔の毒々クチビル

アンヒューマンの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

アンヒューマン(2022年製作の映画)
3.6
「バス間違えた」

課外授業の為山奥にやってきた高校生グループがゾンビに襲われるお話。


「ワナオトコ」シリーズなんかでお馴染みマーカス・ダンスタン監督による新作ホラー。
現在はU-NEXTやアマプラ等の配信限定ですが、その内DVDレンタルもされるでしょう。多分。恐らく。Maybe.
個人的には1作目の「ワナオトコ」がかなり好き(2も好きだけど)だし、その後製作された「ネイバーズ」も描写や痛々しさなんかは劣るものの相変わらずハラハラ出来る緊張感があってこれまた良作だったので、今作も安っぽさは観る前から感じていましたが楽しみにはしていました。

成る程。
まず言えるのは、今作にはこれまでの作品で磨き上げてきた緊張感や痛い描写は皆無でゴアも大して無いです。
出てくるゾンビも中盤あたりまでは数人程度ですし、大分チープな印象でした。
しかしながら後半から思わぬツイストで物語が急展開を迎えます。
この展開のさせ方自体、ちょっと無理があるようにも感じましたが、これはこれで割と面白い。
ネタバレ無しで言及出来る所はかなり限られていますが、劇中の登場人物は一見するとそれぞれベタな役割分担がされている一方で実は意外なギャップというか、キャラ付けがされていてこれがしっかり活きてくるんですよね。
あ、君たちそう言う関係だったの?とか何かこいつ結構友達想いだな、とかそういった観ていく内に変わる印象がクライマックスを程よく見応えあるものにしてくれていて、中々楽しめました。

終盤のフルボッコシーンはあれですね、良くも悪くも最近のブラムハウスっぽいというか。
まぁ今回は良しとしますか。
主人公が半端な行動で皆を危険に晒しておいてのあの開き直りはちょっとイラっと来ましたが、最後頑張ってたしプラマイゼロかな。あと親友のタマラがめっちゃ鼻が高くて印象的でした。
何ならやってる事は全然共感出来ないんだけど、あのおっさんのとある台詞が一番共感出来ました。やっぱそっち側なんだよなぁ。
おデブ君とあの人の関係性も良かった。

そんな訳でラストも完全に想定外の終わり方だったんだけど、青春ホラー映画なエンディングって感じで嫌いじゃないです。
オマケシーンはちょっと蛇足だったかな。と言うより流石にそれは止めた方が良いような。
でも「CIAの人?」に対して「○○○よ」の返答はちょっと笑えた。

正直マーカス・ダンスタンに期待していたノリはそっちじゃなかったけど、結果として意外と良かったと思える内容だったのでまぁいっか。
「ワナオトコ3」はもう完全に中止になってしまったのでしょうか。そこは気になる所です。