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東京の宿のaminのレビュー・感想・評価

東京の宿(1935年製作の映画)
3.9
父と二人の息子の背中を、ローアングルで切り取る最初のシーンから、小津安二郎しかやらない絵に、条件反射で嬉しくなる。建物の少ない開放感たっぷりの東京は、画面の広さも相まって抽象的な舞台のようにすら見える。何もない東京なのに、なんであんなに濃厚で詰まっているように描けるのだろう。雨の中、ドヤ街みたいなところを屋根伝いに小走りで移動するところも、何故か切なくなる、良いシーンである。ラストシーンで喜八が、仕事を得てからのこの間はこれまてで一番楽しかった、のセリフには、『暗黒街』(1927年)を思い出すものがあった。小津もスタンバーグ観たのかなぁ。観ただろうなぁ。そういう映画のカッコいいものを次の映画に繋いでいくのが、嬉しい。同じことに感動して、気持ちが動いたってことを、時間を超えて追体験出来る素晴らしさ。
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