香港の政治を変えたいという思いの上で投身自殺を図ろうとする少女を止めようと周辺がもがく話。
大人が動かないから若者たちが動き、自己犠牲のうえでデモ活動などを通じて、真剣に世の中を考えているという論調の映画。
自身の平和ボケともいうべきか、私の思想とでもいうべきか、
相手がいかにおかしかろうが、それを理性ではなく暴力や過激なデモ活動で訴え解決したところでそんなものは仮初で、ただ新たな暴力の火種を生むのみであり、無意味かつむしろ害悪であるという考えが私の中で終始よぎり、どうにももやもやする作品ではあった。
さらに、大人の庇護を受ける、社会人経験もない若者の声など、どこに信頼性があるか。だからこそ暴力という野蛮な活動にもつながるわけで、それはことさらに信頼性を失う。まさに若気の至りともいえよう。
警察の親をイヌと呼ぶ15歳の少年。おまえこそが親の庇護を受け苦もない生活を享受するイヌだろう。片腹痛い。
若者も政治を真剣に考えるべきだという意味では納得はあるが、だからといってこの映画が美しい、芯を食った映画だとは私は全く思わない。
ただ今の日本のように、政治を誰もが諦めていて衰退し続けるのを見守るしかない現状こそ糾弾されるべきで、香港もやりすぎだと思う一方で日本も異常なのだろうといろいろと鑑賞後に思いを馳せてしまった。