あーさん

ウエスト・サイド物語のあーさんのレビュー・感想・評価

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)
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ミュージカル映画強化月間 第2弾 Vol.7

これは、大作❗️
ミュージカル要素の全てが詰まっている、素晴らしい作品 ♪

言わずと知れた、シェイクスピアの戯曲 "ロミオとジュリエット"を下敷きにしたミュージカル。
つい口ずさみたくなる、素晴らしい数々の音楽や躍動感あふれるダンス故に、"サウンド・オブ・ミュージック"と並んでミュージカルの金字塔とも言われる。
しかし152分という尺の長さもあり、我々世代以前か、若い人なら特にミュージカル映画好き以外観ている方は少ないのでは…?

舞台はアメリカのNYウエストサイド。
属する世界が違う二人の男女の悲恋を軸に、大人社会の縮図と言える移民の若者達の対立する姿を音楽、ダンス、演技、演出、全方位から見事に表現した作品。
観終わった後には、決して教訓的ではないのに"争うことの虚しさ"がひしひしと伝わってくる。。

参りました!!

まず、オープニング。
NYの街を空撮…から、どんどんクローズアップしていくのが斬新!
カメラワーク、、この時代にしては攻めてる感じ。

それから、曲の素晴らしさ。
レナード・バーンスタイン先生の鮮やかな手腕に感服!

印象的なものを抜粋すると、、

♪ Prologue
例の指パッチンしながら…のヤツ。
ウエストサイド物語といえば、まずこの音楽が頭に浮かぶ!
ストリートでの弾けるダンスをジェット団、シャーク団のメンバーそれぞれが魅せてくれる。セリフは殆どなく、しばらくダンスとお芝居の融合が続く場面の音楽。

♪ Dance at the Gym
(Mambo)
他にもCha-cha、Jumpなどダンサブルな曲が。二つのグループが入り乱れ、踊る群舞は圧巻!

♪ Maria
トニーがマリアを想い、切なく歌い上げるナンバー。あまりにも有名 ♪

♪ America
象徴的なアメリカンドリーム、何にでもなれる自由を賞賛するだけ歌かと思いきや、差別の現実、アメリカは犯罪組織大国とまで歌っている。アメリカという国の複雑さ、光と影が表現されている。
こちらもよく耳にする曲。

♪ Tonight
愛し合うマリアとトニーが、二人でハーモニーを奏でる素敵なナンバー ♪
"Tonight"を"今夜"でなく、"今宵"と訳している所が良いなぁ。。
バルコニーのシーンはロミオとジュリエットを思わせる。
リフとベルナルド、アニタ、トニー、マリアが別々の場所で歌う五重奏は聴きごたえ有り!

♪ Gee, Officer Krupke
これは変わり種。
街の見回りをするクラプキー巡査に対して、ジェット団のメンバーが自分達の不憫な境遇を嘆く歌。
家庭環境の悪さが犯罪の連鎖になってしまうのは世の常。それを彼らは"社会的な病気"だと言う。
明るく歌っているけれど、自虐的で胸に刺さった。

♪ I Feel Pretty
マリアがトニーへの恋心を抑えきれず、仕事場の仲間達の前で歌い踊る、とても可愛らしい歌。ワルツのリズムが、踊りだしたくなる気持ちをよく表現している。
幸せ絶頂のハイテンションのマリアに思わずほっこり♪ 仲間達の合いの手も楽しい。

♪ Somewhere
♪ One Hand One Heart
マリアとトニーの愛の世界。
どこへ行けば、二人は結ばれるというのだろう。。

♪ Cool
冷静になれ、とジェット団のメンバーが歌う。カッコいいナンバー。

♪ A Boy Like That / I Have Love
兄ベルナルドの彼女のアニタとマリアが、それぞれ愛する人を想う気持ちを切々と歌い上げる。とても好きな曲。

これは、早急にサントラを購入しなければ。。

次にキャスト。
今作はその年の助演男優賞&助演女優賞をはじめ監督賞、作品賞、撮影賞、脚色賞、美術賞等を含む10部門のアカデミー賞を受賞しているが、残念ながら主演男優賞&主演女優賞は受賞していない。
本人達の不本意ながら、歌が吹き替えだったせいもあるだろうけれど、助演男優賞を受賞したベルナルド役ジョージ・チャキリスと助演女優賞を受賞したアニタ役のリタ・モレノの存在感、演技はやはりそれに相応しく素晴らしいものがあると思った。
けれど、マリア役のナタリー・ウッドの一途さ、可愛らしさは特筆しておきたい!
彼女のピュアな魅力は、時代を超えて伝わってくるものがあるはず。。
(トニー役のリチャード・ベイマーも、素朴で真っ直ぐな役を好演していた)

そして、物語。
ストーリーは、元々ウエストサイドにいたジェット団(ポーランド系移民となっているが劇中ではイタリア系?)と新参のシャーク団(スペイン系プエルトリコ移民)の縄張り争いに尽きるのだが、そこに彼らを取り巻く大人として登場する対極の人物、
シュランク警部補とトニーが勤める店のオーナー、ドク。シュランク警部補がとことん若者達を虫ケラのように扱うのに対して、ドクは若者の味方である。だが、行き過ぎたことをしようとすると、ちゃんと叱ってくれる存在でもある。ドクの"なぜ戦争をやめんのだ!"というセリフ。今作の一番根幹にあるテーマなのではないかと私は思った。
どんな風に育てられたか、扱われたかは、その人となりに大きく影響する。
周りの大人達が、もう少し温かい目で見てあげていたら、、
同じ時代を生きる若者同士、もう少し分かり合えていたなら、、
こんな悲劇は繰り返してはならないと、私達の心にとても深い余韻を残して、物語は終わる。

思わず、しばし言葉を失う。
マリアの"Stay back!"が本当に、本当に、悲しく響くのだった。。



絶妙なバランスで成り立っている、間違いなく名作!!





**夏休みに入っていつもと勝手が違い、月をまたいでしまったミュージカル強化月間。今作で、とりあえず第2弾はおしまいにします。
レビューしたかった"巴里のアメリカ人"は、ずっと貸出中で次回へ繰越。。
仲良しのフォロワーさんにレンタルお願いしようかな。
フレッド・アステア大全集も買ったことだし、まだまだ観たいミュージカル映画もたくさんあるので、第3弾もそのうちやります♪

☆ミュージカル映画強化月間 第2弾 記録

宵々山 アラジン(アニメーション版)
宵山 ニューヨーク・ニューヨーク

①コーラスライン
②キャバレー
③マイフェアレディ
④ アラジン(実写版)
⑤ライオンキング(アニメーション版)
⑥ライオンキング(CG版)
⑦ウエストサイド物語

たまたまディズニーの実写&CG化が重なり、コンサート案件も相まって、今回はこのようなラインナップになりました。

次は何を観ようかな ♪
あーさん

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