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ウエスト・サイド物語のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)
4.0
ブロードウェイ・ミュージカルの映画化で、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を現代のニューヨークに置き換え、民族対立による若者の悲劇として描いた不朽の名作。
ロバート・ワイズと、舞台ミュージカルを演出・振付したジェローム・ロビンスが共同監督。
原題:West Side Story (1961)

ニューヨークの下町、ウエスト・サイド地区。
リフ(ラス・タンブリン)率いるイタリア系の不良少年グループ「ジェット団」と、ベルナルド(ジョージ・チャキリス)率いるプエルトリコ系グループ「シャーク団」が対立。
ベルナルドの妹マリア(ナタリー・ウッド、歌:マーニ・ニクソン)と「ジェット団」の元ボスで、リフの親友トニー(リチャード・ベイマー、歌:ジム・ブライアント)は、ダンスパーティーで出会い、一目で恋に落ちる。
両グループの決闘は避けられず、リフはベルナルドに刺されて命を落とし、止めに入ったトニーは我を忘れてベルナルドを殺してしまう。
トニーとマリアは逃げようとするが、マリアの婚約者チノはベルナルドの仇を打とうとトニーを探し回る。
そして、ベルナルドの恋人アニタ(リタ・モレノ、一部歌:ベティ・ワン)がついたウソが悲劇の引き金に…。

「みんなが彼を殺したの。彼もリフも。銃ではなく、憎しみで」

ソール・バスのタイトルデザインに続き、マンハッタン島を俯瞰するカメラがやがてウエスト・サイドに降りていき、フィンガー・ティップスがかすかに聞こえ…、不良少年グループの対立をダンスで見せる見事な導入部から画面に引き込まれる。
セット撮影ではなく、ロケを敢行して屋外で撮った大胆な演出とジェローム・ロビンスの躍動感ある振り付けが見事に融合。
舞台同様、音楽(作曲)はレナード・バーンスタイン、作詞はスティーヴン・ソンドハイムで、「トゥナイト」「アメリカ」「マンボ」「クール」「マリア」など、映画の中で歌われる曲も名曲揃い。
圧巻は、決闘が始まるシーンにおける「トゥナイト」五重奏。決闘に向かう両グループ、決闘の回避を祈るマリア、マリアへの愛を深めるトニー、ベルナルドとのデートに胸躍らされるアニタ。それぞれの想いが、相互に絡み合いながら高まっていく。
少し残念なことは、出演2人の歌が吹き替えであること、トニー役リチャード・ベイマーが少し"弱い"こと、マリア役ナタリー・ウッドはプエルトリコ系に見えないこと。
ひとつお願いが…この作品は映画館(の大画面)で見てほしい。初めてみる時に。
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