田中裕子さんならではの「待つ」ことについての名品
佐渡島には行ったことがないので、その漁村や海の光景を期待して鑑賞
この作品を印象付ける魅力を2つ挙げるとすれば、
まず、田中さんの名演!
ぐぐぐっと引き込まれました
夫を30年待ち続ける若松登美子(田中裕子)の最初のシーンで、イカを干しながら同僚(親友)とふたりで座っている、
その何でもない佇まいの尋常ではない求心力に唖然としました(ふたりともイイ)
そして、久保田監督の真っ直ぐな視線!
画面がとてーも美しく、どのシーンもリアルかつ味わい深くて驚かされました
ドキュメンタリー出身の監督でもう60代ですが、同じく田中裕子さん主演の「家路」に次ぐ長編映画第2作
「大人のラブストーリー」
行方不明者を社会問題として扱うのではなく、あくまで残された個人の「待つ」という行為にフォーカスされていたため、誰にとっても関心が抱ける普遍的なテーマになっています
みなさんの指摘通り、特筆すべきは尾野さんとダンカンさん、良かった
好適は…大学生以上、かなあ
人生の苦労が分かる大人ほどグッと来るのでは(劇場内平均年齢は高めでした)
⭐️あと2回くらい観たいかも
映像、録音、役者に浸れる作品なので!
役者さんはみなさん持ち味を活かしてて
素晴らしかったです
⭐️生活感が丁寧に織り込まれています
⭐️録音も繊細でした
歩く時、床が軋む音なども美しい
静かな映画なので、眠い時は要注意🥱
⭐️葬式のシーンは、音もダイナミック
見せ場のひとつ!
⭐️蒸発した男も描かれています
なぜ失踪するのか?のひとつが示され
誰もが納得できるかは分かりませんが、
少なくとも登美子には想定内だったよう
(個人的には、あり得ると思いました!)
⭐️「少し大きいかも… !、ピッタリね」
田中さんの静かな名演の数々に酔う贅沢な時間でした
🌿 喪失と受容に関する物語
喪失を受容するための条件は何か?
例えば津波の日に、Aさんが何処にいたか分からず痕跡が確認できなかった場合に、人はいつまでAさんを待つのでしょう、それはきっと証拠を目にした人よりずっと長い時間になるのでは?
そう考えると、僻地たる佐渡島に暮らす登美子が30年(以上!)待つことになっていることを共感・想像しやすくなるのでは…と思いました
🌿 もう少しユーモラスなシーンを
笑顔になれるエピソードがあっても良かったかもしれませんね
(何度でも観れるように…)
もちろん、個人的にはすごく惹きつけられ劇場にまた足を運ぶつもりですが、それは田中裕子さんら俳優陣の演技の引力と監督の情熱のおかげ!
以下ネタバレ
〜。。〜。。〜。。〜。。〜。。〜〜🌿
ダンカンは何故受け入れられなかった?
彼は自分の孤独を埋めたかったのでしょう(会食のシーンでの彼の台詞にヒント)
彼女にとって、待つことが人生の一部になっていたばかりか、長い長い祈りになっていたはずです
たとえ死別後も続く愛があるように、これも愛の崇高なカタチのひとつ
だって幻滅して壊れることがない…
これってロマンティックでしょう?
そもそも、現実的には飲兵衛のおじさんはダメでしょ、ってことかナ……女性側のメリットは少ないはず
世話など面倒が増えるから
それでも、ダンカンの恋慕の情自体は素敵だし、彼女を救ってもいると思うのです 切ないけれど