おりん

千夜、一夜のおりんのレビュー・感想・評価

千夜、一夜(2022年製作の映画)
4.3
待ち続ける人の葛藤と決断、戻ってきた人の想いと惑い、生と死。情景や表情、語られる台詞から色々と考えさせられた。家族や夫婦でも気づけないことがあるからこそ、"伝える"ことが大事だと思った。行方不明には色んな理由が考えられるし、待つ側の人生を狂わせてしまうことがあると感じた。

終始淡々と進みかつ重苦しい。しかし、この作品は行方不明や生死に関する話。誇張せず美化せず人物の心情や周りの人間を描いていたので、リアルで入り込めた。待つ側は年数や築いてきた関係で気持ちが変わるのかもと考えたし、「ふと消えてしまいたい」という想いは分からなくはないと思った。

人物の心情を淡々と繊細に描くだけでなく、その周りの人の優しさなのかお節介なのか判断が難しいところも描いていて、そこも心が揺らいでいく点なのかと考えていた。あと、行方不明だけでなく死も描かれており、失踪の重さや生死のリアルさが伝わってきました。
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