日本海の離島で、30年前に失踪した旦那を待ち続ける登美子を演じる田中裕子。
尾野真千子が演じる看護士の奈美も二年前旦那が失踪。二人を取り巻く人間模様と島の風景を音数少ないサキソフォンが物悲しさを募らせる。
「日本には毎年8万人失踪者がいる。」と『アンダーカレント』で知った後の本作。北朝鮮の拉致問題を背景に、失踪した旦那と行き別れた二人の失望感と、それでも生きていく強さが入り混じる表情に惹きつけられる。
二人のように悲しみに暮れる何十万人もの家族が、今、この瞬間も実在するという意識で鑑賞すると、無情な光景が心に沁みる。
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