たわし

ファンタスティック・プラネットのたわしのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

非常に優れたSFかつアニメーション映画だと思った。作品内のどの要素も非凡である。

まず世界観およびビジュアルに関して。荒廃したディストピアの描写、ドラーグ人の独特の様相、色づかいが不気味な印象を与える。登場するクリーチャーの造形にも独自性がある。

次に内容に関して。本作はSFであると同時にブラックユーモアとして楽しむことができる。

まずドラーグ人が人間を虐げる描写は、現実での人間の無意識の加害性の表象であると感じる。人間を愛玩動物や家畜として支配すると同時に、数が増えたら殺戮の対象とする。また、天候を操り鉱物を意のままに破壊する場面も登場する。そこに何の躊躇もない点は現実の人間として読み替えることができる。

そして本作では知識の重要性も謳っている。ドラーグ人から逃れたテールは他の人間に知識を享受する。その結果、元々闘獣同士の決闘で物事を決定していた野蛮人間は話し合うことを覚え、武器を使いドラーグ人を討伐し、ロケット開発にも成功する。ドラーグ人と人間の共存は知識がなければ決してなし得なかったであろう。

その他にもさまざまなモチーフが短時間で現れ、音楽の使い方も素晴らしかったりと語る要素が非常に多い。改めて、この作品は非常に優れたSFかつアニメーション映画だと思う。
たわし

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