イペー

ファンタスティック・プラネットのイペーのレビュー・感想・評価

3.9
巨人も青かった !

フランスのアニメ作家、ルネ・ラルーの手による、異様で異質なSFアニメ映画。

宇宙のどこか、とある惑星。
青い肌に赤い目の巨人、ドラーグ人が高度な文明を築いています。

彼らにとって、人間は虫ケラ同然。
良くて家畜、せいぜいペット。
知事の娘に拾われた赤ん坊はテールと名付けられ、首輪を嵌められてオモチャ扱い。

幸運にも娘のお気に入りとなったテール。
毎日一緒にお勉強タイム
おかげで歴史と科学をしっかり吸収。
知識を蓄え、やがて膨らむ疑問。

「もしかしてぼくら…ナメられとる…?」

人類の増加に危機感を募らせるドラーグ人は、ついに人間根絶を計画。
一方、テールによって力を与えられた人類側も、星からの脱出を企てるのですが…。

久々のレビュー、チョイスしたのはずっと観たかった本作。
噂に違わぬトンデモアニメでした…。

くすんだ色彩に切り取られた、クレイジーな悪夢。
見渡す限り、奇妙奇天烈な物体に埋め尽くされて…キ、キモい…‼︎

気が遠くなる様な手間ヒマをかけて撮影された"切り絵アニメ"なる手法。
カクカクと不気味な動きが、やっぱりキモい…‼︎

ドラーグ人の皆様は言うに及ばず、動植物から建築物まで、アバンギャルド過ぎるデザインの数々。

どこをとっても"ゆるキャラ的可愛らしさ"の真逆をいっており、一瞬たりともホノボノした気持ちにはなれません。

破壊力抜群のシュールな世界に眩暈を覚えている間に、ストーリーは粛々と進んでいたようです。
早い話、"巨人 vs 人類"の生存を巡る争い。

案の定、人間サイドは圧倒的に不利。
ドラーグ人が面白マシンを操り、凄まじいジェノサイドが繰り広げられます。
不謹慎ながら、人がアリの様にプチプチされるシーンは快感です!

頑張って反撃に転じる人間サイド、どうにかドラーグ人の弱点を発見するんですが、
うん、まったく意味がわからん‼︎
おそらく自分の理解力不足でしょう。

とにもかくにも、隅から隅まで奇想天外でグロテスクな魅力が充満していて、気づけば、このファンタスティックな星に夢中になってました。

ヌルヌル動く最近のアニメには無い"間"がある事で、強く感覚に訴えてくる部分があるのかもしれません。
左脳よりも右脳を激しく揺さぶる、強烈な映像体験なのであります。

巨大なドラーグ人に踏み潰されてグウの音も出ない、そんな心境で鑑賞を終えたワタシ…。
キ、キモい…けど、Blu-ray欲しい…‼︎

…映画鑑賞もレビューの投稿も散発になってますが、これには深い理由がある…というコトでもなく…。
季節が移ろい、色々と物思うタイミングだから、なのでございます…。
イペー

イペー