てる

ファンタスティック・プラネットのてるのレビュー・感想・評価

3.2

インパクトのあるパッケージで興味を引かれていた。評価も高く、海外のアニメーションで初めて積極的に観たいと思った作品だった。

かなりシュールな作品だった。
そりゃ見た目からしてそうだろうと言われたらその通りなのだが、何故かそれを予想すらしていなかった。冒頭からかなりブラックなので、ドン引いてしまった。
そもそも私はシュールな作品が苦手なのだった。

そんな私をよそに、物語はシュールに淡々と進んでいく。
クレイアニメのようなコマ回りだし、どこか暖かみのある子ども向けのような画柄なのに、内容はかなり残酷だ。
人の形をした全身が青い巨大な宇宙人が、人間を虫のように飼っている。その描写が妙に生々しくて気持ち悪い。
このまま虫として飼われていくだけの話しなのかと不安に思ったが、その後は、人類の反逆があって、少しだけヒーロイズムの話しになり、ようやくわくわくしだした。
宇宙人の弱点を発見し、見事打ち勝ち、共存の道を歩んでいく。
こういうとガンツみたいだけど、ガンツほどエンタメではない。それに、主人公も飼い主と住むことにしたようだけど、話の趣旨としてはそれでいいのかやや疑問に思う。
でも、赤ん坊の頃から彼女に育てられているわけだし、そうなるのも当然なのかもしれない。

でも、とりあえず観終わって、一番初めに出てきた感想は、面白いのかどうかわからない、だった。
シュールな世界観やこの星の奇抜な生物、青い宇宙人の生態、等々気になる点はある。そういう所に面白味を見出だせる人はさぞ楽しめることだろう。

だが、私には少し難しい。ただ、楽しもうとする意思はあるし、魅力があるのも伝わる。
大人になってから観てよかったとは思う。たぶん、10代、20代のときに観ていたなら軽いトラウマになっていたはずだ。

インスタやFacebookを観ていると、海外のショートアニメーションで、人間がもし家畜であったらという動画がたまに流れてくる。やはり、そういう風に考えてしまう人は一定数いるんだろうなぁと思う。
確かに残酷なことをしているのはわかっている。だからこそベジタリアンという主義の人たちがいるのもわかる。

んー。その辺を深く考え出すと肉が食べれなくなるからと、目を背けてしまうけど、そういうことを真面目に向き合った人がこういう作品を作るんだろうね。

とりあえず、私の答えとしては、文明を築けるような高い知能を持つ生物とは意思の疎通が出来るわけであって、話し合いをしながら共存の道を歩んでいくのが正しいと思う。
でも、それって人間同士もそうだね。結局は相手の意思を無視して、虐げていると痛いしっぺ返しを食らうわけで、共存出来るのであれば、そうしておいた方が両者にとって得だよね。

この作品は人種差別を扱っていると考えると少し分かりやすくなるね。たぶんそういう意図もあったはずだ。見た目の奇抜さだけで判断してはいけないわけだ。小さくても生きている命なわけで、大切にしようね。ていうテーマだったのかもしれないね。
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