人間たちに駆除される蚊やハエ、ゴキブリなどの気持ちがちょっと分かったような気になれる作品。
誰しも幼少の時に一度は想像したことあるだろう。
人間よりも巨大な生き物がどこかにいて、私たちを踏みつぶしたりつまみ上げたり弄んだりするんじゃないか。
そんな想像をいい歳した大人がアニメーションによって具現化したもの。
なので話の筋は至って単純だ。
それなのに唯一無二の世界観によって、強烈な印象を与える。
それは独特な絵柄によるところは勿論大きい。
でもそれ以外にも、変な生き物、変な植物、イガム星(巨大な高等生物・ドラーグ族の住む星)の奇異な習慣… そんなもののちょっとした描写の仕方によるところもかなりあるだろう。
眠るときにトカゲのように丸くなって眠るドラーグ族、彼らはまた霞のようなものを吸い込むことが食事のようだ。
空飛ぶ魚のような生き物。
それらを捕まえてはただ地面に叩きつけ、笑っているだけの謎の生物。
地面に這う腸のような植物は、雨が降ると直立する。
… などなど。
どうでもいいことを描くことによって、なんともいえないグロテスクさとダークファンタジー感をもたらしている。
アラン・ゴラゲールによる、かなりピンク・フロイド・ライクなサントラも良い味を出している。