みかんぼうや

ファンタスティック・プラネットのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

4.2
だめだ、これはヤバい。もう物語がどうとか、そういった理屈抜きで、「イレイザー・ヘッド」(デヴィッド・リンチ)と同様、生理的に大好き。皆さんが気持ち悪いと書かれている本作に登場する人間たちの描写(どこか「進撃の巨人」の無垢の巨人のような表情や動きにも見えるのですが・・・)が個人的に最高にツボってしまいました。

生態系の最上位に君臨するはずの人類の上に、実はドラーグ族という巨人類が存在し、時に人間をペットとして扱い、時に害虫として駆除するという、SF世界の話なのですが、ストーリー展開云々よりも、その世界観そのものと描写が最高。

これを書くと、精神異常と思われそうですが、本作の中で文字通り害虫扱いされるちょこまかと動き回る人間たちがおもちゃにされたり、人間の群れが踏みつぶされたり、スプレーのようなもので駆除される様子が、妙に自分の中のサディスティックな感情を刺激してくるのです。これが実写だったら多分リアリティがあったり惨さできつかったのだと思うのですが、この独特のタッチで描かれた、虫のような動きをする悲壮感に満ちた人間たちがキャーキャー騒ぎ立てて殺される様子が、妙に滑稽に見えて面白く、何故かワクワクが止まらないのです(そういえば、子どもの頃からTVゲームとかで怪獣やら爆弾を街に投下して破壊して荒れ野原を作るのが好きだった)。

なんというか、この作品を観て、自分の中に潜む残虐性や変態性が炙り出されたようで、観終わった後に少し凹みましたが、エンタメと現実の区別はちゃんとついているので大丈夫です(笑)。
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