つめけん

ファンタスティック・プラネットのつめけんのレビュー・感想・評価

3.5
「"忠実"か"疾風"がいい」

人間をペットにする宇宙人の話。

衝撃作。こんな不気味な映画は他にない。
インパクトや恐ろしさだけを考慮するなら5点付けてもいい。でも怖くて苦手だからこの点数。

僕の価値観からして、こんなに恐ろしい映画は滅多にない。僕は和/洋/幽霊/悪魔/人コワ等問わずホラー作品を平気で見られるけど、今作はどんなホラーよりも「怖い」と思わされた。

ホラー演出はほぼないにもかかわらず、映像の質感、キャラデザ、音楽、ストーリー…すべてにおいて腹立たしいまでに不気味で、これでもかと不安を煽る。

特にキャラデザは本当にヤバい。人間、原住民、原生生物などなど、画面に映されるもの全てが生理的嫌悪感を覚えさせる。
「怖がらせてやろう」みたいな色気がなく、おそらくデザイナーの手グセでナチュラルにデザインされているのがかえって気持ち悪い。

最序盤の、虫でも殺すかのように人間を虐げるシーンがマジでキツい。本当に嫌なシーン。序盤が一番キツくて、終わりに向かうにつれて段々マイルドになっていく構成。嫌らしい。

最終盤の展開だけ妙に熱くて困惑する。こんな見てくれで終わり方が希望に満ちてるのもなんか嫌。

「もっと早く出会いたかった」映画は多々あれど、今作は逆に「子供の頃出会ってなくてよかった」。大人になって怖いものに耐性がついてから見て本当に良かった。こんなもんを子供の頃見てたら一生のトラウマよ。眠れない夜を何日も過ごす羽目になっていただろうね。


ピクミンの元ネタになっていると聞いて納得。これを全体的にマイルドにしたらピクミンになる。こんな怖い作品からよくぞピクミンのような丁度良い塩梅の作品を作ってくれたもんだ。
つめけん

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