くわまんG

サメストーカー ビギニングのくわまんGのレビュー・感想・評価

4.0
あらすじ:好きな人に好いてほしいのは分かるけど、好きな人が嫌がることしたらあかん。

高校最後の夏、海で戯れてたらサメに襲われたけど、爽やか青年が助けてくれた。命の恩人がイケメンとか惚れてまうやろ!?…というお話。

白昼堂々、じわじわと日常に侵入してくるストーカーがめっちゃ怖い。おもしろ邦題&チープジャケットのせいで出オチクソ映画っぽく見えるけど、ゾワゾワする上質なB級サスペンススリラーだった。

まず、品行方正な態度と立派な肩書きで周囲の信用を得て、ターゲットを孤立させてゆく手練手管が怖い。

次いで行動原理が怖い。特に、相手を支配したいと思うに至ったきっかけが。ただ、支配欲は誰しも多少備えているはずなので、一二歩踏み外すとここまで堕ちるのかも。

聞き分けのない(実は親の思い通りにならないだけで悪い子ではない)我が子より、素行の良い他所の子を信頼しちゃう、思慮の浅い親もリアル。「だから(=自分に都合がいい意見しか受け入れないから)父さんに捨てられたのよ!」なんて子供に喝破されたら、恥ずかしくて対話を拒絶したくなる気持ちも分かる。あれで(最後の砦となるはずだった)母娘の繋がりが断たれて、タイマン勝負になってしまう流れは唸るほどスムーズで、個人的ハイライトだった。

あと、血生臭い撒き餌をびちゃびちゃ海面に投げ入れるシーンが妙に快感。ジョーズオマージュなのかも。そもそもあれは、サメ釣りの手法として正しいんだろうか?笑

血肉に寄ってくる野蛮の象徴、サメ。善人を喰ったらぶち殺したくなるけど、悪人を喰ったら称賛したくなる。だからサメ映画ってこんなに需要があるのかな、と思ったり。