もーりー

1640日の家族のもーりーのレビュー・感想・評価

1640日の家族(2021年製作の映画)
4.0
愛する人がゆっくりと、でも確実に遠い存在になっていくということ。末っ子として育てられているけれど、一番繊細で大人な態度のシモンが少しずつ見せる"子どもらしい"面に惹かれました。

全体的にダイナミックさは無く、(日本とは異なる)フランスの家族の雰囲気や里親制度を淡々と描いていました。好き嫌い分かれそう。

棘のある言葉や態度は、里親のコーディネーターも、里親も、実父も、関係を拗らせたくてしているわけではないところがどうにもつらい。子どものためになってるのか?という問いはいつ答えにたどり着けるんだろうかと、観ながら考えを巡らせてました。

自分は親としても子としても登場人物へ投影はできなかったけれど、親子という関係性へこだわる必要はなくて、愛する人を失い、想うことを想起させてくれる映画だなと。立場に共感できなくても、シモンとその兄弟、両親、パパの演技から葛藤とそれへの心理的反応が汲み取れてとても良かったです。