andy

1640日の家族のandyのネタバレレビュー・内容・結末

1640日の家族(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

里親について真正面から向かい合った作品です。

とにかく愛情と切なさが詰まった作品でした。
何が切ないかというと、とにかく悪い人が一人も出てこないです。一人ぐらい悪人が出てくれば、切なさも半減するのにと思ってしまいました。
里親のアラン、実父のエディ、コーディネーターの行政、みんなシモンのことを最優先に、シモンの幸せの為に愛情を注ぎます。

アランのシモンと少しずつ離れていく葛藤や、どうしてもシモンに関わりがちで長男の相手が疎かになっていた事など、里親のリアルをしっかりと描いていると思いました。里親制度を肌感覚で理解できる作品でもあると思いました。
アラン夫婦がどのような経緯で、里親になったのかもう少し詳しく知りたいと思いました。

育て親のアランに肩入れして観てしまうのですが、一方でエディが父親として養育できるまでに生活を安定させようと努力していることも、いっぱい伝わってきます。シモンもそんなエディの気持ちも慮れるぐらいに成長していきます。何が一番良いのか本当に考えさせられましたし、10人いたら10通りのケースがあって難しいと思いました。

制度としては、シモンはエディのところに戻って生活を築いていくのが主目的ですが、実父と里親の3人がシモンの親として、これからも一緒に関わってくれたら良いのにと思ってしまいました。もちろんダメなことはわかっているのですが・・・。

アランはシモンは里子だとは重々承知していますが、実子と引き裂かれるような思いだったに違いないですし、親としてはアランに肩入れせずにはいられませんでした。
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