これも事前情報があった訳じゃなく、時間的にちょうど良いとたまたま観た映画。結果観て良かったと思う。ライブ映像も含め華やかな編集の画像と、深淵なデヴィッド・ボウイの思索に触れられる、それは濃密でエネルギーに満ちた映画。
ロックスターなんて幻でしかない、っていうのも本人の言葉だったと思う。多くのファンに囲まれた華やかな存在だけど、それはそのままその人自身じゃなくて。映像や音楽はそのイメージそのままに。でも、本人の肉声から発せられる言葉からは、その裏側に隠された素顔、彼の人生で経験したこと、それに基づいた深い哲学とが表現されている。
もちろん難しいので全てを理解したとは全く言えないけれど。たまたま観た程度のファンでもない私にとっても、彼の言葉は様々な示唆に富んでいて聞いて良かったと思えるものだった。なにより、彼の作品である様々な曲を聴けたことはもちろん、コラージュされたような映像もとても見応えあるものだった。
この深みと華やかさとを両方持つことができるのは、本当に稀有な存在だし、まさにこういう人こそアーティストなんだろうな。
