柿トマト

マッド・ハイジの柿トマトのレビュー・感想・評価

マッド・ハイジ(2022年製作の映画)
3.0
乳糖不耐症と乳頭って……

「エロ」「グロ」「下劣な品性」をまとめて乗っけたかのような映画が登場。その名も「マッド・ハイジ」。スイスの児童文学であり、日本ではそれをテレビアニメ化したものが有名な「アルプスの少女ハイジ」を大胆にもバイオレンスアクションにアレンジしたものになっている。

チーズ会社の社長であり、大統領に登り詰めたマイリがスイスを支配してから20年。国内ではマイリ社製のチーズ以外は違法となっていた。羊飼いのペーターは裏のルートを使い独自のチーズを製造し流通させていたが、捕まり処刑されてしまう。ペーターの彼女ハイジはマイリに対する反逆者とみなされ投獄の身に。刑務所では同年代のクララと共に非人道的な仕打ちを受けるなか、ハイジの心に復讐の心が芽生え始める…といった物語だ。

予告からわかると思うが下品に寄せた映画。男子中学生の感性が詰まったというか、とにかく「バカ(笑)」という感想しか浮かばない。例えば劇中でチーズを食べることのできない「乳糖不耐症」の人間が反逆者として虐げられている場面。その刑務所の中では劣悪な環境が描かれるのと同時に、マイリ大統領が官邸で自由気ままに生活している場面が描かれる。そのマイリのお付きの「裸エプロン」のメイドが登場し、さらに胸の「乳頭」がどアップで映るシーンなんて本当にくだらなくて脚本家の神経を疑ってしまった。

ただ、この映画の一番の白眉はグロでも、エロでもない。冒頭で語られるクラウドファンディングによって作られたことに対しての感謝の言葉が述べられるところだ。公式サイトによると「世界19カ国538人の映画ファンによるクラウドファンディングで、約2億9000万円もの資金集め」と記されている。こんなバカな企画に資金を出すもの好きな人間がこんなにいる。そしてそんな映画を買い付け、日本全国で公開にこぎつけた映画配給会社にもエールを送りたい。

ラストでは続編が示唆されるようなものになっているので、本作で充分に稼いでパワーアップしたパート2を期待したい。
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