タケオ

47RONIN-ザ・ブレイド-のタケオのレビュー・感想・評価

47RONIN-ザ・ブレイド-(2022年製作の映画)
3.5
-ちょうどいい湯加減のお気楽B級映画『47RONIN-ザ・ブレイド-』(22年)-

 キアヌ・リーヴスが主演を務め、約2300万ドル(!?)という大赤字を叩き出した問題作『47RONIN』(13年)の、まさかの続編である。「一体なぜ!?」「どこに勝算が!?」「誰が求めてるの!?」と疑問に思うのも無理からぬことだが、常人の理解を遥かに越えた(とち狂ったともいう)判断を日々下していくのがハリウッドの仕事というものだ。
 監督のロン・ユアンは本作について、脚本が書き上がる前から「マーシャルアーツ、アクション、ホラー、サイバーパンクとあらゆるジャンルを融合させた、世界中の誰もが楽しめる刺激的な映画になるだろう!」と豪語しており、その自信満々の態度には少々困惑させられた。しかし、しかしである。いざ完成した本作を観てみると、なんと本当に「マーシャルアーツ、アクション、ホラー、サイバーパンクとあらゆるジャンルを~(以下略)~刺激的な映画」となっており、たいへん驚かされた。ロン・ユアンは本当のことを言っていたのである。
 前作から300年後のブダペストを舞台に、ミニスカくノ一軍団&チャラいけど正義感溢れる浪人&死亡フラグ立ちまくり侍&赤穂浪士の末裔(不良ニューヨーカー娘)が、陰謀をめぐらす邪悪な呪術師に立ち向かう!───という荒唐無稽なプロットを、バカにすることなくキッチリと仕上げているのが本作の美点だ。そこそこキレの良いアクション、そこそこ魅力的なキャラクター、そこそこ壮大な物語、そしてそこそこ現代的なメッセージ。ちょうどいい湯加減のお気楽B級映画としては、なかなか手堅くまとまっている。
 前作は約1億7000万ドルという高額な予算ゆえスタジオ側から現場への干渉も多く、何度も脚本の変更を命じられ、そして映画はどんどんつまらない方向へと向かっていってしまった。製作費が高額な映画はクリエイティブ面での自由をなかなか得られない。それに対して本作の予算は、なんと驚きの約1200万ドル。低予算ゆえに苦労も多かったようだが、その代わりに確保できたクリエイティブ面での自由こそが、本作を成功に導いたのだろう。海外でもそこそこ好評を得ており、すでにシリーズ第3弾の製作が決まっているとのこと。ちょうどいい湯加減の続編を期待したい。
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