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遠いところのkazuoのレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
3.8
夫と2歳の子供と3人で暮らす17歳のアオイ。アオイは足りない生活費を賄うためにキャバクラで働き、夫は仕事を辞めてからは働かない。やがてアオイが密かに貯めていたお金を浪費しアオイには暴力を振るうようになり…

沖縄では、一人当たりの県民所得が全国で最下位。子ども(17歳以下)の相対的貧困率は28.9%であり、非正規労働者の割合や、ひとり親世帯(母子・父子世帯)の比率でも全国1位(2022年5月公表「沖縄子ども調査」)。さらに、若年層(19歳以下)の出産率でも全国1位となっているように、窮状は若年層に及んでいる。(公式サイトより)

上記問題やDVについてリアルに描いた作品。リアル故に救いがないし環境やタイプが違う自分には共感する要素もなく辛い作品。
特にアオイに対して、何故ひどい行いをする夫と別れようとしないのか、ラストに向けての子供に対する考え方など共感どころか嫌悪感を抱いてしまう。

しかしアオイは17歳。今の私から見て稚拙に感じるのは当たり前。ではその頃の私はどうだったのか?当たり前のように親の脛を齧り行動力もない。高校も勉強せずに留年した。そしてそんな自分を形成したのは大人のせいにしていた。決して悪い環境ではなく寧ろ恵まれていたのに。つまりアオイよりも遥かに稚拙だった。しかし環境に恵まれており何度かドロップアウト(引きこもり、消極的な)したものの今も生きているし、アオイのような誤った選択をしている者を一端に怪訝な表情で見ている。

環境が人格を形成する。全てがこれに該当するわけではない。しかし環境に左右されるケースは多々あるだろう。多分私は環境に恵まれていなければアオイより誤った選択をしていただろう。

残り僅かな人生で、どうすれば良い環境を作ることに貢献できるのだろうか…

この映画はむしろアオイに共感出来ない人にこそ観て考えて欲しい作品。
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