Risa

遠いところのRisaのネタバレレビュー・内容・結末

遠いところ(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

実話に基づいたフィクションとあるが、
沖縄ではこのようなことが沢山ある。

親や家が嫌で市街地に逃げ、中学卒業から水商売を始める女の子
女の子を孕ませ、責任から逃れるため逃げ回る男
「私、学がないから(中卒)お昼にお仕事できそうにない」と昼の仕事を諦めて夜の仕事を選んでしまう人。

劇中でもあったように時給2,500円でキャバクラで働いていた子(未成年)が、日中の仕事(最低賃金で毎日、朝から働く)を選ぶかというと、親が協力的でもない限りそこからは脱せられないのである。ましてやそういった“協力的な親”は数少ないため、未成年たちは僅かな選択肢の中から生きるために危ない道を選択してしまう。

主人公の周りの大人達は大人という名目の子供だ。
年だけ取って大きくなったけど、精神は子供のままだから自分の子供のアオイさえ支えてあげられない。そんな大人子どもは少なからず世界中にいるものだから負の連鎖が断ち切れない。

物語は終始、胸を締め付けられるが、終盤にアオイが健二を連れて逃げるシーンがなんだか自分も悔しい気持ちになって涙が出た。

物語のラスト、ハッピーエンドともバッドエンドとも明確にしていない形で終わるが、私はその終わり方で良かったと安心した。
もし、アオイと同じような立場、似たような立場の人が見たときに、終わりをバッドエンドとして明確にしてしまうと「これは私の未来なんだ」となってしまいそうだから。
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