うにゃ

遠いところのうにゃのレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
4.0
子役は大丈夫なんだろうか?私が親だったらこの映画はハードすぎて出演させられないかも。

沖縄は貧富の差が激しい。特に親の問題で。
私は両親がいるが、片方の実家の問題で私が20歳くらいまで貧乏だった。だから高校を卒業した後は、専門学校へ行くために「同級生の後輩になっちゃうな…」と思いながら契約で一年間働いて学費を貯めた。一年で済ませたかったので、残業や休日出勤を頑張った。今の家庭の経済状況は、普通だと思う。

振り返ってみると、友達にも、例えば両親が役所勤めの共働きでお金持ちの子と、片親で貧乏の子と両方いた。
保育園の頃には、すでに片親の割合が多かった。
皆一緒になって遊んでいたけれど、成長するにつれ、子供ながらに家の様子について気づく。
片方は文房具が無印良品一色だったり、駄菓子屋で好きなものを買う。片方は、シャーペンもなく短い鉛筆を使い、駄菓子屋ではお金がないので見るだけ。服は勿論、ランドセルもお下がり。学校で使う色々な物がお下がり。
一番に思い出すのは「何のシャンプー使ってる?」という会話。皆が、ダヴとか挙げるなか、私はスーパーで一番安い謎の物を詰め替えで使っていたので答えられなかった。

中学は私立を目指して塾通いの子、仕事で留守の親の代わりにお米を洗って炊いたり、洗濯物を取りこんで片付けたり、下の兄弟の面倒を家でみる子。

高校では、アルバイトが禁止なのに学費とバス代とご飯代と家に入れるお金の為に仕方なく隠れて働く子が沢山いた。

沖縄では、男が、特に長男は甘やかされて育つ。そして土地が狭いので、結婚しても実家が近い場所にある為、大人になりきれてない人も多いと思う。

高校生の時、先輩が「親が自分に無関心だから彼氏の家に居候している」と言っていた。
そして若くして子供を産んだ。
でも、相手の男が親に甘えて働かず飲み歩き子供にも無関心の為、すぐに離婚してその家を出たと聞いた。
その後は、どうなったのか分からない。

同級生には、母親と二人暮らしをしていたのに、母親に急に彼氏が出来て邪魔だと家を追い出され、同じアパートの違う部屋で一人暮らししている。という子もいた。その子はそれから不安定になり謎のマイナーな宗教にのめり込み、学校で勧誘を始めた。私は話を聞く事しかできなかった。

私が生活費の為にアルバイトをしている時に、一緒だった大学生がお小遣いの為にアルバイトをしていると言っていた。学費は親が出してくれていると。マイケルコースのバッグや旅行費の為に働いていると。
今から考えると、正直お小遣いを自分で稼ぐなんて偉いと思う。でもその時はただただ羨ましいと思った。
この映画を観て色々な過去の記憶が蘇った。

劇中、「考えてみて」と言われたアオイが笑う。選択肢がないからだ。

私には選択肢の幅が少し狭いけど、それでも選べたし、毎日三食ご飯が食べれてちゃんとした家で眠れていた。学校にも通えた。家庭環境に恵まれていたからだ。

そういえば小学生の頃、家に朝ご飯を食べに来る子もいたな。シングルマザーの子で、ある日一緒に学校行こうとかなり早朝に迎えにきた。朝ごはんを食べているときだったので家族で驚いていたら、その子は朝ごはんという存在を知らなかった。
それからは家で一緒に食べていた。
母が鮭フレークおにぎりを出したら、こんなに美味しいもの初めて食べたと興奮していた。今でいうと放置子か。

子供を産んで離婚した、高校の時の先輩はどうしているんだろう。
親が無関心だと言っていのが気になる。
誰か、頼れる人がいるのか。
どうしているんだろう。

アオイにも選択肢があればよかった。
うにゃ

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