矢吹健を称える会

遠いところの矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
3.9
 映画研究塾塾長が「世界レベル」と評していて「またまた~」と思いながら見たらちゃんと傑作だった。ビガッ!!!!

 子どもが遊んでいるさまをとらえたカメラが、ゆっくり後退して窓をまたぐと、室内でまどろんでいる花瀬琴音が映る。素晴らしい! 序盤から固定ショットと移動撮影(路地?を奥へと進むショットが何度も出てくる)が適確で良いなあと思っていたがこのショットで一気に心つかまれた。
 祖母に「あんたの面倒はもう見ない」と告げられるシーンで、花瀬琴音のシルエットが闇に浮き出る。こういう、人物が影に浸ったシーン(たくさん出てくる)、警察から逃げるスローモーション、尋問での冷たい照明、初めて売春するときにかかる劇伴("夢二のテーマ"みたいなピチカート)、全部たまらん。中国人客とセックスするシーンが不気味で怖かったのだが、客を演じていたのがリム・カーワイだそうで「なぜ……」となった。