むるそー

遠いところのむるそーのレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
4.8
キャバクラで働く17歳のアオイは、夫のマサヤと幼い息子と狭い部屋で3人で暮らしている。マサヤが働かない分アオイは自らの手で必死に家計を支えるのだが、店にガサ入れが入り未成年のアオイは職を失う。マサヤからはDVを受け、金を持ち逃げされ、そして彼が起こした暴力事件の示談金を要求される。どうしようもなくなった彼女は風俗店で働き始めるのだが、それがきっかけで親友の海音をも亡くしてしまう。

どこか遠いところに行きたい。沖縄の薄暗い部分に真っ向からスポットを当て、若者が抱える八方塞がりな感情を極めて正確にスケッチした作品。これを見たら"沖縄に住みたい"なんて気軽に言えなくなるはず。

ラストシーン、息子を抱えながら水面に映る朝焼けを見つめるアオイの姿はあまりにも感傷的で、死の間際まで近づいた美しさがそこにあった。彼女は遠いところに行けたのだろうか。
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