きっかけはSEALDs

遠いところのきっかけはSEALDsのネタバレレビュー・内容・結末

遠いところ(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

17歳の母親が生きていく過酷な現実。

貧困の連鎖。悪い方、悪い方へと転がっていく人生。その背景にある雇用率、最低賃金などの問題。時折映る米軍基地のフェンスや、辺野古漁業権補償を巡るシーンに沖縄固有の原因があることを示唆する。先祖の墓前に親戚が集まり宴を開く場面では、琉球の人たちが脈々と繋いできた命を蔑ろにしているのは誰か?との問いを観ているものに突きつける。

本作、海外誌からはケン・ローチや溝口健二の名前をあげて絶賛されているのだが、日本で公開された時、話題になっただろうか。
基地問題だけでなく、そこからつながる沖縄の貧困問題にも無関心な日本社会の現状が、両者の存在を存置させてしまっているのだろう。

ラスト、児相から連れ出した我が子を抱きかかえ、“遠いところ”目指し海へと入っていく主人公。胸まで海に浸かったところで、子どもが目を覚まし、その声に立ち止まり、我が子を高く掲げる。
彼女はこれからもこの子と生きていくのだろうと暗示させるシーン。それには行政、ひいては国レベルでの支援が必要だと思わせる。秀作。
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