kohei

窓辺にてのkoheiのネタバレレビュー・内容・結末

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

観た日になんか書いとかないといけない案件なんだけど、(いつもそう言い訳してるけど、)この映画に対して抱いた感情を適切に言葉にできない気がする。せめてこれだけは絶対、というものを書き残しておく。
茂巳が妻との関係を諦めたあとのいろんな人との会話やパチンコの描写のあたりは涙するしかなかったのだけど、そこで登場した妻の母の写真を撮りためたアルバム(1年に1回、命日の日に撮っているものだろうか)を観て、目の端の筋肉がギュインと唸った。要するに泣いた。ああいうモノを自分は人生のうちにどれだけ残すことができるだろうか、なんてことを思った。どれだけ、というかひとつでもいいのだけど。端的に言えばあれは(妻やその母にとってのアルバムは)、これがあるから生きていける、と思えるような愛のこもったお守りになり得るはずだ。そういうものを映画の中に発見できるのはしあわせだし、そのために映画やドラマを観ているのだとも思う。あなたを愛している、あなたを信用している、一生そばにいる。そんな言葉、どれだけ言っても虚しいだけだし本質が掴めない。でも、ああいうモノにこそ人を生きさせる、明日を歩ませる力があると思う。ふだん作り手のことを考えすぎないように映画を観ているけど、これはどうしても今泉力哉さん自身を裏側に透かしながら観た映画でもあった。ほんとうに孤独で、だからこそ誰かの(いや、わたしの)お守りになりうる映画だった。
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