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窓辺にてのriikoのネタバレレビュー・内容・結末

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

怒りや不満はリクエストの感情だ。
市川がなぜ妻に怒りや不満を抱かなくなったのか、そしてその失ったリクエストの感情は再生することがあるのか。

悲しみを表せないことへの憤り。
真っ先にジェイク•ギレンホールの「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」を思い出した。
あれはスクラップ&ビルドにより内省して自身を受け容れていくまでの再生の物語だった。
最近自覚した私自身の映画を観る時の悪い癖である「答えの提示を求めて観る」ということ、同作品が頭に浮かんだこともあり途中までずっと"解"を期待して待っていた。

この作品の人間関係や一人一人の背景はほとんどが不透明で、だけど恐らくこんな生活を送ってきた人なんだろうということが想像しやすい種が蒔かれている。
折り重なった人間関係とパフェの描写が重なる。幾重にも重なった層をすべて味わい切ることなんて不可能だし、すべてを知った気になってるだけの不完全だ。

昨日、今泉監督がTwitterにて雑談スペースを立ち上げていた。
リクエストの感情を失うまでの過程や取り戻すまでのケーススタディをこの市川茂巳という登場人物を介して探りたかったが、自分なりの解を出す前に本人に伺うのは勿体無い気がしてリクエストボタンは押せなかった。

この「解をすぐ知るのは勿体無い」ということに改めて気付かせてくれた本作品にとても感謝している。
"おもしろのたっちゃん"じゃないけど、とりあえず三日三晩考えたい。またスペースがあるといいな。
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